このブログでは統計項目に「血統」を挙げています。
その分析の前提知識、分析結果をどのように見ればよいかを説明します。
毎週のレースで、血統をどのように分析しているかは、個別レース分析カテゴリーの記事をご覧ください。
競馬場毎の分析も行っています。
このページの内容は、動画にもまとめています。
血統は馬の能力の方向性を決める
そもそも、なぜ血統を分析するのか。
血統構成によって、その馬の能力の方向性が、大まかに決まるからです。
サラブレッドの世界は基本的にインブリード、近親交配が主流です。
血統を300年ほど遡るだけで、始祖の種牡馬に辿り着くほど、血が偏っています。
特定の血の影響が強いということは、それだけその血が持つ影響が子供に出やすい、ということです。
なので生産者の方々は、「高い能力を引き継がせる種牡馬」から馬を生産するわけですね。
勝ち馬の血統構成を、統計データとして分析していくことで、
- どのような条件のレースで
- どのような能力の特徴を持つ馬が勝っているか
これを、具体的なデータで特定することができるようになります。
血統の分類方法
このブログでは、「大分類」と「系統」という2階層で血統を分類しています。
イメージはこんな感じです。
- 日本系
- サンデーサイレンス系
- サンデーサイレンス
- ・・・
- ディープインパクト系
- ディープインパクト
- ・・・
- サンデーサイレンス系
- 欧州系
- キングマンボ系
- ロードカナロア
- ・・・
- ロベルト系
- モーリス
- ・・・
- ・・・
- キングマンボ系
- 米国系
- ストームキャット系
- ヘニーヒューズ
- ・・・
- エーピーインディ系
- シニスターミニスター
- ・・・
- ・・・
- ストームキャット系
大分類:日本系
現代の日本競馬の根幹種牡馬は「サンデーサイレンス」です。
特徴は、日本の軽い馬場に合ったスピード能力と、クラシックディスタンスを走れるスタミナです。
このサンデーサイレンスから派生した種牡馬系統全体を、大分類「日本系」として扱っています。
サンデーサイレンスの後継種牡馬は多岐に渡り、様々な系統を構成すると考えています。
派生系統 | 代表的な種牡馬 |
---|---|
主流型 | ・ハーツクライ ・オルフェーヴル |
パワー(短-中距離)型 | ・ダイワメジャー ・ジャスタウェイ |
ダート型 | ・キンシャサノキセキ ・ゴールドアリュール |
さらに、サンデーサイレンス後継種牡馬の大本線として、
確固たる系統を築いたのが「ディープインパクト」です。
今後は、ディープインパクトの子孫が続々と種牡馬入り、産駒の代を重ねることで、
上述のサンデーサイレンス系と同様、派生系統を構成していくと考えられます。
大分類:欧州系
欧州調教馬を祖とする系統全体を、大分類「欧州系」として扱っています。
特徴は、欧州の重く起伏に富んだ馬場を走るスタミナと、終盤の加速力/持続力です。
また、その特徴が強く引き出される時期が比較的遅く、晩成型の傾向にあります。
主要な種牡馬系統としては、以下のようなものを欧州系に含んでいます。
系統 | 代表的な種牡馬 |
---|---|
キングマンボ系 | ・ロードカナロア ・ドゥラメンテ |
ロベルト系 | ・モーリス ・エピファネイア |
ダンチヒ系 | ・ハービンジャー ・デクラレーションオブウォー |
上記の例では、ダンチヒ自体は米国調教馬ですが、世界中で広く後継種牡馬が発展しています。
その土地で必要な能力が強化され、それを遺伝させる種牡馬として繁殖入りするため、
「欧州系のダンチヒ系」や「米国系のダンチヒ系」と、分けて考えています。
大分類:米国系
米国調教馬を祖とする系統全体を、大分類「米国系」として扱っています。
特徴は、テンから速いスピード能力と、ダートで必要とされるパワーです。
また、その特徴が強く引き出される時期が比較的早く、早熟型の傾向にあります。
主要な種牡馬系統としては、以下のようなものを米国系に含んでいます。
系統 | 代表的な種牡馬 |
---|---|
ストームキャット系 | ・ヘニーヒューズ ・ドレフォン |
エーピーインディ系 | ・シニスターミニスター ・パイロ |
ヴァイスリージェント系 | ・クロフネ ・フレンチデピュティ |
掛け合わせの考え方
当ブログの血統分析では、単純な「種牡馬(父親)が何か」という観点だけではなく、
母系も含めた「血統構成」という考え方で見ています。
馬の能力は基本的に種牡馬(父親)の特徴が出やすいことから、「父」と「母父」に着目して、
どのような特徴を持つ馬であるかを分析しています。
母系のデータとして、直系の「母」ではなく2代前の「母父」に着目する理由は、
その母親自身もまた、母父の特徴を強く受け継いでいるはずだからです。
さて、各分類の大まかな特徴を説明してきましたが、これらが掛け合わさると、どうなるでしょうか?
答えは「それぞれの特徴を併せ持った産駒が出る」です。
そのため、
- 産駒A・・・父:日本系 母父:欧州系
- 産駒B・・・父:欧州系 母父:日本系
このような2頭がいた場合、「統計上は、似た能力的特徴を持つ」と考えられます。
これはあくまで一般論であるため、種牡馬によっては異なる傾向があるかも知れません。
また、「母父欧州系の場合にのみ明らかに好走傾向があり、逆は無い」などがあれば、
実際のデータに従い、分析結果は公表していきます。
まとめ:ブラッドスポーツを楽しむための基礎知識
競馬はブラッドスポーツと呼ばれます。
それほど、競走馬の能力を決めるにあたって、血統が与える影響は大きなものです。
知らなくても馬券は買えるけど、知っていると、もっと楽しい。
WIN5対象レースでも、有効な統計項目の1つと考えているので、
今後も継続して、勝ち馬の血統構成を分析していきます。
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